攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜


 まさかの反応に胸を躍らせていると、今度は3歳くらいの小さな女の子がトコトコとやってきた。
 自分の体の半分くらいはありそうな大きな本を抱えている。


「おねえちゃん。これよんでー」

「え……」


 女の子は、ニコニコしながらその大きな本を私に差し出してきた。
 まだ赤ちゃんのような幼い声としゃべり方が可愛くて、キュンと胸がときめいてしまう。



 か、可愛いっ!!



「いいよー」

「ありあとー」


 本を受け取ると、ニコッと愛らしい笑顔でお礼を言われた。
 あまりの可愛さに『可愛い!!!』と叫んで頬ずりしたい欲に駆られたけれど、なんとか理性でそれを止める。



 ワトフォード家の悪魔兄弟に会ったあとだからか、この子が天使に見える……!
 待ってて。今、お姉ちゃんがこの本を読んであげ…………ん?



 受け取った本を開いた瞬間、その中身のおかしさに思わず首を傾げてしまった。
 小さい文字でびっしりと埋まった、小難しい内容の本だったからだ。



 何これ? 児童書じゃないの?
 どう見ても、大人向けの小説のような……。



 出てくる言葉は難しいものばかりだし、主人公は探偵らしい。この本が子ども向けではないことは明らかだ。