攻略不可能なクソゲーのヒロインに転生していたので、殺される前に離脱したい 〜溺愛ルート? 何それ?〜


 街に行くため、ドレスから1番地味な服に着替える。
 ワトフォード家の娘だと気づかれなければ、街には行ってもいいと言われている。

 食事も寝床も確保された、この贅沢な暮らしから逃げるわけがないと思われているのだろう。



 まあ、実際には監視がついてるんだけどね。
 


 ゲーム内で街に出た時、選択肢の中に『逃げる』があった。
 好奇心で一度だけ押してみたけれど、速攻捕まって監禁されてしまったのだ。



 監禁された後の展開は最悪だったわ……。
 絶対にあのルートには進みたくない! 気をつけよう……。



 ゾゾゾッと背筋に悪寒が走ったけど、なんとか気持ちを奮い立たせて部屋を出た。


「たしか、外に出るなら正門じゃなくて裏門からって言われてたよね? 裏門ってどこだろう?」



 記憶が戻る前の昨日までの私は、一度も街には行かなかった。
 この家を出たら、もう二度と帰ってこられないような気がして怖かったからだ。


「……今の私なら、帰れなくなったら喜んじゃうけどね」


 そんなことを呟きながら廊下を歩いていく。
 右側の窓から庭を見ると、少し遠くに立派な正門が見えた。



 あれが正門ね!
 じゃあ、あっちとは逆のほうに行けばいいのかな?



 キョロキョロと屋敷内を見回しながら歩いていると、小さな中庭を発見した。
 人があまり通らない、静かで落ち着いた空間。



 わぁ……何ここ。素敵!
 綺麗な花も多いし、静かだし、なんかゆっくりしたいときに来たいかも……って、ん?


 
 綺麗な中庭に見惚れていると、草の上に直に座りひっそりと本を読んでいる人物がいることに気がついた。


「!!!」