あんな顔、ゲームの画面では見たことがない。
エリーゼのドレスを選んだときはすごく怒っていたけど、少し眉を吊り上げた怒りの表情とセリフが載っているだけで、ここまでの恐怖を感じることはなかった。
「こ、怖かったぁ……」
ドッドッドッと激しく動く心臓を落ち着かせるように、ふーー……と深呼吸をする。
たとえゲームと同じ展開になろうとも、画面で見ているだけなのと実際に体験するのではこんなにも違うものなのか。
……でも、これって結局イベント失敗しちゃったってことなのかな?
ブチギレてたし、好感度が3%落ちてたらどうしよう……!
自分の視界の下のほうにある本のマークにチラリと視線を向け、恐る恐る触れてみる。
ピロン
『好感度
エリオット……8%
ディラン……11%
レオン……12%』
……えっ!? 11%!?
ディランの好感度が1%上がってる!?
「嘘……」
あんなに怒ってたのに、一応正解だった……ってこと?
このイベントでは、元々どの選択肢を選ぼうが好感度は下がる予定だった。
その好感度が上がっていた。滅多に上がらない好感度が上がっていた! ……というのに、素直に喜ぶことができない。
「正解を選んだのに、1%しか上がらないなんて……」
しかも、本気の睨みと脅しのオプション付きだ。
このまま簡単に好感度100%にいくとは到底思えない。
無理。やっぱりどう考えても無理!
自分で選択肢を増やせるならなんとかなるかもとか思ったけど、絶対に無理!!
私を憎んでいるディランの目を思い出すと、ゾッと背筋が寒くなる。
「なんとしてでもエリーゼを見つけてここから逃げなきゃ……!」



