家に来るなり俺に笑顔を振りまき媚を売っていた女は、ある日を境にピタリと自分から姿を見せなくなった。
たしか、令嬢ごっこをした日からだ。
どんなに無視をしても罵倒しても、毎日挨拶をしに来ていたのに……。
やっと諦めたのか?
清々しいような、どこか引っかかるような変な感覚。
そんなとき、あの女がエリオットに褒美として付き人をつけてもらったこと、レオンと会話をしていたという情報が入ってきた。
あのエリオットが褒美を渡した?
あのレオンが話をしていた?
……どうなってやがる?
俺の頭はすぐにある結論に辿り着いた。
それは、あの女が俺以外の兄弟に取り入って、何か企んでいるんじゃないかという結論だ。
レオンに注意喚起したが、どう手懐けたんだかあの女の肩を持つようなことを言っていてすでに手遅れだった。
本がどうと言っていたから、あの女がレオンの好きな本を利用して近づいたのは間違いない。
……腹黒い女め。
俺だけは絶対に騙されない。
あんな女を、エリーゼの代わりになんてさせてたまるか。
そう思い、あの女に自分の身分をわからせるため料理を作らせたのだが──。



