当然、土曜日の夜はメールを送ることなどできなかったわけだ。 環が和輝を思い、ため息をついている頃、和輝は久々の妻との濃密な時間を過ごしていたのだろうから――。 自分との将来など、あり得ない。 将来どころか、今過ごしているこの時間さえも……嘘で塗り固められた架空の幸せなのだ。 声を殺して泣いていたはずが、いつしか激しくしゃくりあげている。 「……環?」 ベッドから、和輝の呼ぶ低い声が部屋の中に静かに響き渡った。 □ 笑顔の裏側 □ / 完