戦闘開始と同時に遠距離攻撃部隊はユリウスさんの指揮のもと、ゼリー弾をサイクロプスの手元に確実に命中させていった。
ユリウスさんのペットは金色のたてがみのユニコーン。
ユニコーンに跨って弓を引く彼の姿は、エルフそのものだ。
最初のうちは気にも留めていない様子のサイクロプスだったが、斧を握る拳全体がゼリーに覆われるとさすがに手元を気にしはじめた。
サイクロプスは腕っぷしは大層強力だが、一般的に頭脳はイマイチだといわれている。
案の定、イライラした様子で斧が闇雲な大振りになってゆく。
その勢いで滑って斧が拳からすり抜けるかもしれない。
慌ててそれに備えるよう呼びかけようと口を開いたが、それよりも先にトミーさんの指示のもとジークさんとハットリがアタッカーたちを上手く誘導しはじめた。
「気を付けろ! 斧が飛んでくるかもしれねえぞ!」
わたしよりもジークさんの声のほうがよく響くからありがたい。
そう思っていたところで本当に斧がサイクロプスの手から離れてすごい勢いで飛んでいき、ボス部屋の壁にドスッ! と刺さった。
すかさずそこに絶対防御の魔法を放って斧を岩で覆って固める。
サイクロプスはその岩に手を伸ばしたものの、簡単には割れないと悟ったのかすぐに諦めた。
これで武器を封じることができた。
遠距離攻撃部隊はゼリー弾をやめて次は閃光弾を眼球めがけて放っていく。
両手が空いたサイクロプスは顔の前で手を振り回してそれを防いでいるが、そのせいで完全に攻撃がおろそかになっている。
ここまでは作成通りだ。
このままボスの体力を削りながら足元の攻撃を続けていればいける。
膝をつくようなダウンを奪えれば、アタッカーの重撃で角をへし折ってトドメだ。
落ち着いて足の動きをよく見極め踏みつけ攻撃にだけ気を付けるように指示を出しながら、わたしは斧を固めている絶対防御を維持することに神経を注いだ。
ヒーラーやバッファーもしっかり役目を果たしてくれているため、幸いなことにここまで離脱者は一人もいない。
くまーも広い戦場を元気に走り回ってポーションを補充している。
ふと、旦那様のことをすっかり忘れていたことに気付いて慌てて振り返ると、言いつけ通りにわたしの後ろに立っていた。
「すごいな、ここまでは順調なんだろう?」
「はい、このまま一気に倒せるといいですね」
笑顔を交わして視線をサイクロプスに戻す。
眼球と足元への執拗な攻撃に苛立ちながら両手を振り回し、足を踏み鳴らしていたサイクロプスが突然動きを止めた。
まさか!
慌てて懐中時計を取り出す。
戦闘開始からちょうど半刻ほど経っている。
「暴走化だ! 気を付けろ!」
トミーさんの声が響く。
アタッカーが一旦動きを止めて離れた。
ゴゴゴゴッという地鳴りがしてサイクロプスの目がオレンジ色に染まる。
この暴走化が残りHPによるものか、それとも時間超過なのか判断に迷ってしまった。
サイクロプスの残りHPが僅かである場合はここで総攻撃の指示を出せるけれど、もしも時間がかかりすぎているから撤退しろという合図の狂暴化なのだとしたら……。
時間超過はボスによって設定時間がまちまちだが、たいていキリのいい時間だ。
半刻でもう時間超過になって暴走化するはずがないと思いながらも万が一がある。
早く指示を出さなければと焦っていると、サイクロプスが目からオレンジ色の光線を放ち始めた。
地面が黒く焦げているということは熱光線だろうか。
「うわあぁぁっ! こんなの聞いてねえし!」
アタッカーたちがさらに後退し始める。
「くまー、炎のマントをあるだけ出して配って! 魔術部隊は氷の壁を!」
慌てて指示を出す。
目から光線だなんて、わたしだって聞いてない!
サイクロプスは暴走化すると目からアツアツ光線を出しますって地図に書かなくっちゃいけないわね、と頭の片隅で思いながら、暴走化のトリガーがどちらなのかまだ迷うわたしがいた。
ユリウスさんのペットは金色のたてがみのユニコーン。
ユニコーンに跨って弓を引く彼の姿は、エルフそのものだ。
最初のうちは気にも留めていない様子のサイクロプスだったが、斧を握る拳全体がゼリーに覆われるとさすがに手元を気にしはじめた。
サイクロプスは腕っぷしは大層強力だが、一般的に頭脳はイマイチだといわれている。
案の定、イライラした様子で斧が闇雲な大振りになってゆく。
その勢いで滑って斧が拳からすり抜けるかもしれない。
慌ててそれに備えるよう呼びかけようと口を開いたが、それよりも先にトミーさんの指示のもとジークさんとハットリがアタッカーたちを上手く誘導しはじめた。
「気を付けろ! 斧が飛んでくるかもしれねえぞ!」
わたしよりもジークさんの声のほうがよく響くからありがたい。
そう思っていたところで本当に斧がサイクロプスの手から離れてすごい勢いで飛んでいき、ボス部屋の壁にドスッ! と刺さった。
すかさずそこに絶対防御の魔法を放って斧を岩で覆って固める。
サイクロプスはその岩に手を伸ばしたものの、簡単には割れないと悟ったのかすぐに諦めた。
これで武器を封じることができた。
遠距離攻撃部隊はゼリー弾をやめて次は閃光弾を眼球めがけて放っていく。
両手が空いたサイクロプスは顔の前で手を振り回してそれを防いでいるが、そのせいで完全に攻撃がおろそかになっている。
ここまでは作成通りだ。
このままボスの体力を削りながら足元の攻撃を続けていればいける。
膝をつくようなダウンを奪えれば、アタッカーの重撃で角をへし折ってトドメだ。
落ち着いて足の動きをよく見極め踏みつけ攻撃にだけ気を付けるように指示を出しながら、わたしは斧を固めている絶対防御を維持することに神経を注いだ。
ヒーラーやバッファーもしっかり役目を果たしてくれているため、幸いなことにここまで離脱者は一人もいない。
くまーも広い戦場を元気に走り回ってポーションを補充している。
ふと、旦那様のことをすっかり忘れていたことに気付いて慌てて振り返ると、言いつけ通りにわたしの後ろに立っていた。
「すごいな、ここまでは順調なんだろう?」
「はい、このまま一気に倒せるといいですね」
笑顔を交わして視線をサイクロプスに戻す。
眼球と足元への執拗な攻撃に苛立ちながら両手を振り回し、足を踏み鳴らしていたサイクロプスが突然動きを止めた。
まさか!
慌てて懐中時計を取り出す。
戦闘開始からちょうど半刻ほど経っている。
「暴走化だ! 気を付けろ!」
トミーさんの声が響く。
アタッカーが一旦動きを止めて離れた。
ゴゴゴゴッという地鳴りがしてサイクロプスの目がオレンジ色に染まる。
この暴走化が残りHPによるものか、それとも時間超過なのか判断に迷ってしまった。
サイクロプスの残りHPが僅かである場合はここで総攻撃の指示を出せるけれど、もしも時間がかかりすぎているから撤退しろという合図の狂暴化なのだとしたら……。
時間超過はボスによって設定時間がまちまちだが、たいていキリのいい時間だ。
半刻でもう時間超過になって暴走化するはずがないと思いながらも万が一がある。
早く指示を出さなければと焦っていると、サイクロプスが目からオレンジ色の光線を放ち始めた。
地面が黒く焦げているということは熱光線だろうか。
「うわあぁぁっ! こんなの聞いてねえし!」
アタッカーたちがさらに後退し始める。
「くまー、炎のマントをあるだけ出して配って! 魔術部隊は氷の壁を!」
慌てて指示を出す。
目から光線だなんて、わたしだって聞いてない!
サイクロプスは暴走化すると目からアツアツ光線を出しますって地図に書かなくっちゃいけないわね、と頭の片隅で思いながら、暴走化のトリガーがどちらなのかまだ迷うわたしがいた。



