(一)この世界ごと愛したい





場所はセザールへ戻り。



私は屋上で、一人憂いていた。





るうの声が聞こえた気がして、私は思わず空を見上げる。





「…ごめんね、るう。」




もうそろそろ、ハルに事情を聞いた頃だろうか。




隠し事も、嘘ついた事も、悲しい思いをさせてしまった事も。


全部全部。あとでちゃんと謝るね。






「…今日は雲も風もないなー。」




こんな日の夜は、星がよく見える。




神事は夕方から夜にかけて。


準備は着々と進んでいて、王族達が続々と集結する。国王軍である護衛達も勢揃い。




あまり殺したくはないから、そんなに集まらないでほしいなと若干思わないでもないんだけど。


そんな優しさは今日は捨てないといけない。







「迷えば、剣は鈍る。」




私がレンにかつて言ったことは、パパの教えで。気を付けるよう私もいつも意識していること。




迷わない。


躊躇わない。


ディオン戦での夜襲を思い出せ。





大丈夫。私は強い。誰にも負けない。そして、後からハルとるうが来てくれる。




怖いものなんて、何もない。