場所はセザールへ戻り。
私は屋上で、一人憂いていた。
るうの声が聞こえた気がして、私は思わず空を見上げる。
「…ごめんね、るう。」
もうそろそろ、ハルに事情を聞いた頃だろうか。
隠し事も、嘘ついた事も、悲しい思いをさせてしまった事も。
全部全部。あとでちゃんと謝るね。
「…今日は雲も風もないなー。」
こんな日の夜は、星がよく見える。
神事は夕方から夜にかけて。
準備は着々と進んでいて、王族達が続々と集結する。国王軍である護衛達も勢揃い。
あまり殺したくはないから、そんなに集まらないでほしいなと若干思わないでもないんだけど。
そんな優しさは今日は捨てないといけない。
「迷えば、剣は鈍る。」
私がレンにかつて言ったことは、パパの教えで。気を付けるよう私もいつも意識していること。
迷わない。
躊躇わない。
ディオン戦での夜襲を思い出せ。
大丈夫。私は強い。誰にも負けない。そして、後からハルとるうが来てくれる。
怖いものなんて、何もない。

