(一)この世界ごと愛したい




私の手紙に秘められた。


私の想いを隅々まで汲み取ったハル。





「…力って何だよ。」


「とにかくリンに会うのが先だ。お前が何も知らずに済めば…リンはどこにも行かねえよ。」


「……。」


「お前が思ってるより、リンは傷付いてるのは確かだ。限界越えて、それでも戦い続けてんだろ。そこまでリンを追い詰めた俺達の声が、アイツに届くか分からねえけど…。」





るうの頭の中に、ふとアキトの言葉が浮かぶ。






『その重圧を、お前は本当に分かってやれてんのか?』


『覚悟はしとけよ。』






思い出して後悔した時には、もう遅い。






「…リンが、いなくなる。」


「そうならねえように急ぐしかねえ。」




途端に恐怖を感じ始めたるう。



私が離れていくことが辛いと、そう言ってくれたるうを裏切るかのような私の思惑に。



るうは、歯を食い縛る。






そして、宿木である私の元へ。



ただ、そこへ帰ろうとさらに加速する。









「リン…っ。」





るうの私を呼ぶ声が。



ふと、聞こえた気がした。