ハルとるうが馬を並べ。
セザールへの道を駆け抜ける最中。
「リンは何しようとしてんだ?」
「セザール王を討つつもりだ。」
「…親父の敵討か。」
「ああ。それにあの王がリンを怒らせたからな。もう我慢ならなかったんだろ。」
るうの言葉の通り。
私はもう怒りという感情さえ超越して、憤怒を内に燃え上がらせていた。
「それだけじゃねえな。」
「あ?」
「それだけのためにわざわざセザールに留まるかよ。これだけの手を回してまで、何か守ろうとしてるもんがあるんだろ。」
「…レンか。」
そう。
私がこの策を展開したのは王を討ち、その後のレンを守るためで。
そこまでしなくてもって思われても仕方ないけど。私には、自分の命を顧みずハルを救ってくれたレンを見捨てることなど到底出来なかった。
「レンって誰だ。」
「リンの結婚相手。」
「ああ!?」
ハルは眉間に皺を寄せ、眉をピクピクと動かし動揺と怒りを見せる。
「お前ちゃんとリンを守ってたんだろうな!?」
「回せるだけの手は回した。」
「…俺のリンを掠め取りやがって。リンが守りてえと思うほどの男なのか!?」
「お前を治す薬を作った奴だ。」
「じゃあ恩人じゃねえか!?」
ハルはもう感情の起伏が激しくなり。
また少し涙ぐんでいる。
「じゃあリンは俺の恩人を守るために…つまり俺のために…。」
「それもあるだろうけど、それを抜きにしたってリンはレンを見捨てられなかったろうな。」
「…優しさだな。リンのな。別に特別な感情じゃねえな。当たり前だな。俺のリンだからな。そうだな。絶対ありえねえ。リンに限ってな。」
「落ち着けよ。」

