その場から全く動かなくなったハルを、るうが心配そうにしている。
「リン…。」
「おい、ハル。」
「…俺マジで王なんてやりたくねえ。どうすればいい。」
「どうしようもねえだろ。アルはまだ小せえし。」
ハルはズビズビと。
今も涙も鼻水も止まらないままで。
「あーリンー…。」
「一体どうしたってんだよ。」
「…お前はどこまでもリンに甘やかされてんな。」
「は?」
ハルは私の手紙の内容を全て理解した。
だからこそ、私がるうを甘やかしていると文句を言っている。
「…お前が一人で先走って戻ってこないよう俺に見張ってろって書いてある。」
「んなこと書いてたか?」
「お前さては勝手に読んだな…って、まさかアイツ…!?」
ハルは驚いたように、手紙をもう一度見て。
そしてるうに目を向ける。
「…全部計算通りか。」
「その手紙がなんなんだよ。勝手に読んだのは悪かったけど、リンが何か企んでねえか確認したかったんだ。」
「大いに企んでる。お前が勝手に読むことまで想定して意図的にお前にバレねえようにな。リンはどこまで成長してんだよ。」
「まさか、アイツやっぱ一人で…。」
ハルは涙も鼻水も仕舞い込み。
再び、大刀を片手に立ち上がる。
「その辺の事情は書かれてねえ。次の新月はいつだ。」
「新月…確か、明日だったか?」
「ちっ…今から急いでギリギリかよ。まだ本調子じゃねえってのに。」
「…俺が先に行く。」

