広間は壁や床、天井に至るまでボロボロと化すほど二人の戦いは留まることを知らない。
ハルとるうの力は拮抗し、周囲は別の階へ避難。
もう二人の他に、この場に人間はいなくなった。
「…お前にはがっかりだ。」
「ああ?」
「お前はリンの何を見て来たんだよ。」
ハルの大刀が、るうを捉え。
咄嗟に剣で防ぐも、あまりの力にるうは膝をつく。
「ハル…?」
るうが思わず、心配そうな声を漏らしたのは。
大刀を片手に持ったハルが、るうと同じく膝をついて、普段見せることのない涙を流すから。
「…でも。一番許せねえのは…そんな時に側にいてやれなかった、俺自身だな。」
「……。」
「アイツの心はもう限界だろ。」
「限界?」
私の心の中を知り尽くしているハル。
そんなハルが、限界だと言った。
「流石の俺でも、止められるかどうか微妙だ。」
「…あ、リンから預かりもんだ。」
「……。」
るうは、私が書いた手紙をハルヘ差し出す。
それを読んだハルは。
私の心の中を、より鮮明に理解して。
大刀から手を離し、その場に座り込んだ。
「…限界なんてとっくに超えてたか。」
「ハル?」
「どうしてくれんだよ。」
ハルは、手紙を握りしめて。
力なく項垂れる。
「もう、止めることも…するなってことか。リンっ…。」
るうは状況が読めないでいた。
その手紙は密かにるうも目を通したが、ハルがここまで落ち込むような内容ではないと知っていたから。

