(一)この世界ごと愛したい




「よし。これでかなりマシだ。」


「お前マジで人間か?」


「俺は筋トレ継続すっから、話があるならさっさとしてくれ。」



食べるだけ食べて。


再び筋トレを始めるハル。





「ハル様、今はとにかく休んでくだされ!」


「ジジイは相変わらずジジイだな。俺はとにかく早く身体を元に戻してえ。」


「ハル、三日後に会合があるわ。そこで全てを話されることになる。」


「三日後?今でいいだろ?」




ママが伏し目がちに、ハルへ言葉を紡ぐ。






「あなたには正式に、順を追って話さねばならないからよ。アレンデールの新たな王として、ちゃんと聞いてほしいの。」





流石のハルも、ママの言葉に動きを止める。




ハルは瞬時に理解した。


姿の見えない父が、もうこの世界にいないことを。





「国王…。親父が討たれたってことか?」


「っ…。」




ママの涙は止まることを知らず。


溢れ続けるのが何よりの肯定で。






ハルは同時に、再び私を想う。






「この国はどうなってやがる。人が寝てる間に、何があったってんだよ。」




ハルは混乱する頭を抱える。


その姿を見て、この場の全員が胸を痛めた。