ハルは私を探して。


ふらつく足取りで立ち上がる。




それをるうが止めようとするも、ハルはそれを拒み地下室から出ようと試みる。





が…。




「ってえ…。」




二年も寝たきりで過ごしたハルの自慢の筋力は衰え、足にも思うように力が入らず座り込む。


ハルも、大いに戸惑っていることだろう。




非情な時の流れに、置いていかれたことに徐々に気付き始める。





「一体、何がどうなってやがる…。」


「…ハル。」


「リンは、無事なんだな?」


「ああ。」




ハルはその事実だけを確認し、ゆっくりベッドに腰掛ける。





「…リンはあの戦ちゃんと勝ったか?」


「未だに無敗記録更新中だ。」


「……。」



あの戦とは、ハルが倒れた二年前の対セザール戦。


エリクと戦ったあの戦。




ハルの時間はこの時から止まっているから、戦の結末を知らないのも無理はない。






「そうか。俺はあの時敵の矢で…って、あれからどんだけ経った?」





「…二年だ。」






ハルは思わず、息を呑む。



二年もの時の流れを恐ろしく感じた事だろう。






「…無敗記録って…リンは…。」


「…?」


「…お前リンに最後に会ったのいつだ?」


「二日前。」


「リンの様子は変わりないか?」


「…いつも通りだ。」




ハルはそこでようやく息を吸い込む。


そして安堵の溜め息を溢す。






「…無敗って、アイツ強くなったなあ。」



「リンはリンのままだ。お前のことに責任感じて、しばらくは手も付けられねえくらい荒れてたけど。今もお前を治す薬をちゃんと手に入れて、戦い続けてる。」