神事の日は目前。



私はレンと広間へ呼ばれ、セザール王へ謁見しているところ。




「神事では、姫に一つ余興を頼みたい。」


「余興…ですか?」


「現在世界最強を誇る我がセザール国の戦神として、神の台座に座っていてくれればよい。」


「座るだけで良いなら私は構いませんが。」




何それアホくさ。


それになんの意味があんの!?




「姫のための式典のようなものだな。」


「私で役不足でないか懸念はありますが。陛下にお喜びいただけるなら、しっかりと務めますね。」


「姫は従順で愛くるしいな。」




その従順な私にもうすぐ噛みつかれますよー。




「恐れ入ります。」


「目の中に入れても痛くないとはまさにこのような気持ちを言うんだろうな。レンとの結婚生活も滞りないようで、本当の娘のようだ。」


「…この上ないお言葉です。当日、レン様に側にいてもらうことをお許しいただけますか?」


「レンには勿体ない神聖な場だが、しかし姫の願いなら手配しておこう。」




私はセザール王へ頭を下げて。


とりあえずこれ以上の用はないだろうと思い、レンと共に広間を出る。





神の台座とは。


神事で準備される王よりも高い位置に作られる台座で。神事の催し全てを見下ろすことが出来る場所。



アホくさいが、絶好の位置取りだ。