口ではそう言っていても、私には分かる。
もう、二年か。
ハルにようやく会える。
目を合わせて話ができる。笑い合ったり、喧嘩したり。そんな他愛のないことを、ずっと心から望んでいた。
それは私だけじゃなくて、るうも同じ。
「ハルの第一声なんだと思う?」
「腹減ったーだろ。」
「私も同じこと思ったー。」
きっと目覚めた後に知ることになるパパの死を、私の政略結婚を。
ハルは怒るだろうなと、そこが唯一心配なところではあるけど。ハルは強いからきっと大丈夫。
「るうのお誕生日の次の日に出発ってことにしとこうか。」
「ああ、分かった。」
そんな私はこの日の夜。
ハルに向けて手紙を書いた。
いざ筆を持つと、話したいこと伝えたいことが次々に溢れてくる。
でも出来るだけ簡潔に、私の策を散りばめた文章を書き記していく。
「…ごめんね、ハル。」
一人の夜。
薄暗い部屋の中で、ぽつりと謝る私。
この手紙でハルの想いも心も、裏切ることになるけれど。
もう、私も後には引けない。
きっとハルにも届くだろう。
届いた後、自分を責めてしまうだろう。
そこまで先を読んでしまえるからこそ、私は誰も見てないのをいいことに。
…静かに涙を流した。

