「やれ。」
愚王の一声で私に斬りかかる兵たち。
「……。」
恐らく、数秒の出来事だろう。
反射に近い形で自分に向く刃を全て弾き。
負の感情を感じないほどのスピードで、私は全ての兵を斬り捨てる。
戦場で命をかけて戦う兵士を斬るのとはわけが違う。
こんなに、胸が痛む斬り合いもあるのだと。
私の考えは甘いとよく周りから言われるけど、こういうことも含めて…なんだろうなと思わされる。
あまり慣れてはいないけど、それでも急所は全員外したし。命にかかわる重傷ではないはず…なんだけど。
それでも、ごめんね…。
「素晴らしいっ!!!」
自分の兵が傷付いても嬉々として喜ぶこの王は、私の神経を逆撫でするのが得意なようだ。
「これが神の力!私のものだ!!!」
「…陛下、どうやら三ヶ月も剣を振っていないせいか少々腕に鈍りを感じました。どうか稽古場をご用意願えませんか?」
「ほう。それでも鈍っていると申すか!無論、用意しよう!」

