すぐに離してと言えなかったのは。
私を抱き締めながら、アキトが私の頭をポンポンと撫でるから。
目頭が、熱くなるのがわかる。
「…俺はお前の味方だから大丈夫だ。」
「っ…。」
こんな人間離れの力を手にしても。
それでも味方でいてくれるという、そんなアキトに救われた。
「怖かったろ。」
「…人に見せたのは初めてだからね。」
「嫌いになんてならねえから。遊ぶ約束はそのままだ。」
「ほんと!?」
アキトの包容力は素晴らしい。
普通ならこんな奇妙な力を恐れて、蔑んでもおかしくないだろうに。
「これでまた野宿になってもすぐに火が起こせるなあ?」
「確かに!次は私が火おこしやるね!」
そんな楽しい発想がなかった私は素直に喜ぶ。
本当に素直に嬉しかった。
力が目覚めた私を、変わらず私として扱ってくれるアキトがとても大きな存在に思えた。
「ルイは知らねえって、鬼人も知らねえのか?」
「ハルは知ってるよ。私に力が宿ることは生まれた時から決まってたし。どうにか力を持たせないようにって、パパとハルは必死だったけどねー。」
この力は、アレンデールの王族の中でも王位継承者にしか伝えられない。
極秘の事実。
千年に一人。紅の瞳を持って産まれてきた子には、火龍の力が宿ると言い伝えられてきた。
それがたまたま私だったって話。

