(一)この世界ごと愛したい




レンに怒られているアキト。


私はもうその間に現実逃避に突入する。




アップルパイを無心で食べる。


それはるうの、いつもの美味しいアップルパイで。思わず笑みが溢れるほど懐かしい気もして。






「…るうには、幸せになってほしいな。」


「うわ、フラれてる。」


「そうじゃないけど。るうの幸せって一体なんだろうなって考えちゃうよね。」




私と結ばれることが幸せかと言われると、きっとそうではない気がする。



るうが本当に望んでいるのは、私やハル。そして家族が笑顔で過ごせるように。


それを傍らで見守ることなんじゃないかと、ふと思った。






「お前はなんでも重く考えすぎなんだよ。」


「そりゃ考えるよー。るうとはずっと一緒にいたし、ハルと同じくらい大事に思ってるし。」


「恋愛に情は持ち込むな!!!」


「え、そうなの!?」




恋愛は感情の話じゃないの!?





「情で選ぶな!本能で選べ!!!」


「本能…。」





恋愛って難しすぎる!!!