(一)この世界ごと愛したい





「リンー!」



アキトが帰ってきた頃、私はレンの部屋にある珍しい本に夢中になっていて。


レンは自分でお茶を淹れて飲んでいて。




「持ってきたぞ!!!」


「わあ、美味しそうー!」



焼きたてのアップルパイだ!いい香りでめちゃくちゃ美味しそう!!!


思わず本を置いてアップルパイに飛び付く。




「ご飯早かったから実はお腹すいてたんだよねー。」


「アキトこれどうしたの?」


「細かいことは気にすんな!とにかく食おうぜ!」




レンはどうやってアップルパイを入手したのか気にしていたけど、聞かなくても分かる。






「るう起こされて可哀想。」


「なんで分かった!?」


「…他にないでしょ。それにるうには何回も作ってもらってるし分かるよー。」




明日機嫌悪くないといいけど。


私はこんな夜中に叩き起こされて、アップルパイを準備させられたるうに同情する。





「私がアップルパイ頼んだばっかりにー。るうごめんよー。」


「お前等、恋仲でもおかしくねえよな。」


「え…?」




るうと私が、恋仲???





「その顔は脈なしってわけじゃねえんだなあ?」


「なっ…別に私は…!」


「しまった!レンの前でする話じゃなかった!」





完全にタイミングを間違えたアキト。



だって、るうもそうだけどレンからも好きだと言われてる身なんです!!!