(一)この世界ごと愛したい




私ドレスだからすっごく動き辛いのよね。


だからと言って、着替えさせてくれる時間をくれそうな雰囲気じゃないんだけども。




「姫に剣を。」




かなり不本意だが。


敵国の兵士に違いはない。未来の敵の数を減らすためと自分に言い聞かせないと。



…私の心が持たないな。





「姫様、どうぞ。」




差し出される剣は、いつになく重くて。


私の身体も通常より数倍以上、動きが鈍る。




「あ…りがとう…ございます。」






心を鬼にする。


神は神でも死神になる。



その覚悟で私はここに来た。