るうは見たこともないスピードで、アップルパイを準備していく。
手元が見えないほどの早技。
「…すげー…。」
「あとは焼くだけだ。火は通りやすくしといたから少し待て。」
数十分で焼き上がるだろうアップルパイを、二人で待つ摩訶不思議な状況。
「…あんまりリンを夜遅くまで付き合わせるなよ。朝起きねえんだから。」
「保護者か!?」
「あいつの寝起きの悪さ舐めんなよ。俺は数回死にかけてる。」
「…まじか。」
そこまで寝起き悪いと思っていない私。
無自覚ほど怖いものはないですね。
「鬼人が起きたらお前どうすんだよ。」
「どうって、今までの生活に戻るだけだろ。ハルがいればアレンデールの軍事も落ち着く。リンだけに負担がいくこともなくなる。」
「じゃあ次会う時は敵かもなあ?」
「それはそうだろうな。」
ハルに限って、負けはしないだろうけど。
アキト軍と戦うとなると、ハルは嬉しくて嬉しくて堪らないだろうな。ハルにとってこんな好敵手はいない。
「鬼人と戦なんて考えただけで燃えるなあ。」
「お前は呑気だな。」
「鬼人はまさに最強の文字が似合う男だ!俺の目指す将軍の姿そのものだ!」
「ハルを目指すなら、俺に負けてるようじゃ話にならねえよ。」

