二人は目を点にして。
驚いているような呆れているような、そんな顔で私を見る。
「し、城ってお前…。」
「無理?」
「当たり前だろ!?俺が単独でどうこう出来ることじゃねえぞ!?」
そうなのか…。
じゃあそれは別の機会にしよう。
「…意外とないもんだねー。」
「奴隷と城以外だ。早くしろ。」
負けたくせに。
始まる前はなんでもいいって言ったくせに。
でも、このトランプの会が思いの外楽しくて。結構満足してしまった私は、もうこれ以上に望むことなんてなくて。
「願いってないもんだなー。」
「欲のねえ奴。」
「…あ。」
じゃあ、これはどうだろう。
「アップルパイが食べたい。」
私は名案を思いついた。
それを聞いてアキトはレンに助けを求めるも、レンも用意の仕方を知らずにプイッとそっぽ向く。
「…ちょっと待ってろ!!!」
「え、アキト今じゃなくていい…って。」
私が言い終える前に、部屋を飛び出したアキト。
残された私とレンはトランプを片付けて、アキトの帰りを大人しく待つことにした。

