(一)この世界ごと愛したい






そうだとしても、もう待ったなしだ。




「けど、私は誰にも負けないよ。」


「…ああ、そうかよ。」



アキトは納得こそ出来ていないようだけど、立ち上がり私を見る。




「絶対死ぬなよ。」


「まさか本当に心配してる?」




神でも人でもなくなった私を。


心配するだけ無駄だというのに。





「お前可愛くねえ!!!」


「アキトのお城の場所ちゃんと教えてね。」


「余裕かよ!?」




余裕かと言われると。









「…ほんとはね。」




私はレンとアキトに。


一つだけ、どうしようもないことを伝える。





「負けない自信はあるけど、それが悲しいことだと思ってる。」




二人は意味が分からないといった顔で、頭の上に疑問符を浮かべている。





この炎を持ってして負ける道理はないけれど、私にはそれが悲しいことで。


でもその悲しささえも凌駕する怒りがあるから。







「だから私が負けるなんて、もう万に一つもないよ。」