(一)この世界ごと愛したい




私がそう言うと。


アキトは更にダラーンと項垂れてしまって。拗ねているようにも見える。



…マジでそのために呼んだのか?




「アキトとリンに聞いたこと話してたんだけど、聞けば聞くほどリンのことが心配になったみたいで。」


「え?アキト分かってたんじゃないの?」


「大体はな?けど謀反の後にスーザンと交渉なんてそんな上手く行くわけねえだろ!?」


「あー。そこはノリで行こうと思ってる。」




私が心配でわざわざ王都に残って、この話をするために再び王宮へ来てくれたことは嬉しいけども。


そこは実際勢い任せだから、何とも言えない。




「…甘く見積もりすぎてねえか?」


「私、結構用心深いタイプだから大丈夫だよ。」


「どうもまだ俺の知らねえ策がありそうだなあ?」


「…どうだろうね?」




その策は、ハルがいないと使えない。


ハルがここに来てくれる前提の作戦は、確かにある。




私としても最終手段の奥の手。


ハルがそれを許すかどうかは別なんだけど。








「結局ハル頼みになるからね。私としても情けない策なんだけど。」




全然、成長してないって。


笑われそうだな。