(一)この世界ごと愛したい




夜とは聞いていたものの、この時間で早すぎるのか遅すぎるのかも分からない。



とりあえずレンの部屋のドアを叩く。




「リン、いらっしゃい。」


「アキトもう来てる?」



部屋を覗くと既にダラダラと寛いでいるアキトが目に入る。



どうやら遅かったようですねー。




「遅くなってごめん?」


「大丈夫だよ。時間ちゃんと決めてなかったし。」


「それで、私に用?」




二人に対して私が問い掛けると、レンはよく分かっていないようで首を傾げているので。


今日用があるのはアキトなのだとすぐに分かった。



そんなアキトが私に目を向ける。








「俺は明日城に戻る。」



そう言い放った。





「…うん。お疲れ様?」


「……。」


「え、何?それだけ?」




なんか重大なことかと思いきや、アキトが城に帰る話のために私を呼んだの!?




「…助けてやれねえぞ?」


「うん、大丈夫だよ。」


「呼んだってそんなに早く来れねえぞ?」


「呼んだら来てくれるつもりだったの?」