(一)この世界ごと愛したい





「ここへ来る兵士と戦え。」


「今ここで…ですか?」


「そうだ。」




兵の命の尊さも知らない。


もはや阿呆以下だな。呆れてもう返す言葉も見つからない。




「無駄な血は流すべきじゃない。」


「貴様は黙れ。」




第三王子が止めるも聞き耳を持たない。


あれ、第三王子めちゃくちゃまともに見える。不思議だ。周りがクズすぎて、最早輝いてるよ。






「陛下、お待たせしました。」




そう言って連れて来たのは十人の兵。


ここで神の力とやらを見せるためには、この兵たちを斬らねばならない。




逆に神の力にそぐわぬ力量なら、私の存在など不要でしかない。





本当に、愚王の極みだなー。