なんだろうと、首を傾げる私を。
アキトはふわっと抱きしめて。
「三日後の夜、最後にもう一度ここに来る。レンの部屋に顔出せよ。」
と、私にしか聞こえない声で囁いて。
「…またな?」
アキト特有のニヒルな笑みを浮かべて。私に有無も言わさず足早に去って行った。
るうはそんなアキトの背中にブツブツ文句を言っていて。その様子から、声は聞こえてなさそうだった。
三日後の夜、か。
しかもレンの部屋ってことはレンもいる中で、私になんの話だろうか。
「…髪飾りどっちにしようかな?」
「こっちがリンっぽい。」
「赤だから?るう単純だね?」
「うるせえよ。」
トキがくれた二つの髪飾り。
結局るうに勧められる通り、赤い宝石が付いた方を手元に残すことにした。

