(一)この世界ごと愛したい




なんだろうと、首を傾げる私を。


アキトはふわっと抱きしめて。





「三日後の夜、最後にもう一度ここに来る。レンの部屋に顔出せよ。」




と、私にしか聞こえない声で囁いて。




「…またな?」



アキト特有のニヒルな笑みを浮かべて。私に有無も言わさず足早に去って行った。




るうはそんなアキトの背中にブツブツ文句を言っていて。その様子から、声は聞こえてなさそうだった。





三日後の夜、か。


しかもレンの部屋ってことはレンもいる中で、私になんの話だろうか。







「…髪飾りどっちにしようかな?」


「こっちがリンっぽい。」


「赤だから?るう単純だね?」


「うるせえよ。」




トキがくれた二つの髪飾り。


結局るうに勧められる通り、赤い宝石が付いた方を手元に残すことにした。