(一)この世界ごと愛したい




そんなトキの心遣いが嬉しくて。


ありがとうと、素直に受け取ることにした。




「トキも色々助けてくれて本当にありがとう。」


「確かにしんどい戦だったね。あんな肝が冷える戦久々だったし。」


「それはごめんね。」


「…でも、リンにしか出来ない策で。リンにしか勝てない戦をやりきったんだから、それを近くで見られて少し嬉しかった。」




トキはにこりと笑っていて。


認めてもらえたような、頑張ってよかったと思えるような、そんな気持ちが溢れる。




「俺はアキト以外に指揮したい将軍はいないと思ってたけど、リンもありかなって思えたよ。」


「へ…?」


「敵も味方も戦場全てを魅了して、舞い踊る戦い方に俺も思わず魅せられたからね。」




まさかトキに褒められるなんて思ってなくて、なんだか嬉しいし。恐れ多いとも思う。



そして褒めすぎな気もする。





「まあ、俺の言うことちゃんと聞くならって前提だけど。その辺がリンは不安かな?」


「勝手なことばっか言うな。リンはそもそも人に顎で使われる器じゃねえんだよ。」


「だろうね。」



るうが間に割って入りトキに怒るけど。


興味がないわけじゃない。トキの描く基盤で戦ったらどんなかなって好奇心は湧く。





でも、私はもう…戦はしないと思う。







「トキに褒められると嬉しいね。」


「俺に会いたくなったらいつでも俺の城においで?」


「おい、俺の城な!?」




アキトとの約束もあるし、絶対行くよ。


心の中でそう誓って、去り行く二人を見送った…はずだけど。




アキトがダッシュで戻ってきた。







「リン。」


「どうしたの?」