(一)この世界ごと愛したい




視線は交わったまま。


レンは逸らそうともしない。





「俺は家族だと思ったことはないから。正直なところ、別にどうでもいいけど。」


「それが聞けて安心したよ。少しでも大事に思ってるなら、私もちょっとだけ躊躇うところだった。」


「だけど実行するのがリンなら話は別かな。そんなことさせられない。」




だよねー。


レンはそう思っちゃうよねー。






「私のことはもういいの。」


「俺はリンに負担を強いてまで生きようとは思わないよ。」





レンの瞳が、揺れる。


それでも私にも、譲れないものがある。





「パパとハル、そしてアレンデールの人達の無念を全部背負って、私はここにきたから。」


「……。」





「私は胸を張って帰りたい。」





愛する国。



アレンデールへ。