(一)この世界ごと愛したい





「お前迷走してんな。」


「実はかなり。苦手なんだよね、根拠もなければ正解もないものって。」


「リンは頭で考えるタチだからな。」




そうなのよー。


気持ちよりも頭が先に働くのよー。





「でも全部好きは嘘だよね。」


「嘘?」




私はそんなに出来た人間じゃないし。


良い女でもない。



失敗もするし怪我もするし。私から戦を取ってしまえばもう何も残らない自信もある。





「頭は固いし。無鉄砲だし。負けず嫌いだし。」


「そうそうー。」


「心配ばっかりかけるし。女としての教養は皆無。俺の方が出来る。」


「…あれ、割と嫌いなとこ多くない?」




つらつらと不利点ばかり並べるるう。











「それも全部好きだって話だ。」



「……。」





恋は盲目とはよく言ったものだ。


人の欠点さえも、いいように見えてしまう。そして見たくない部分は勝手にシャットアウトされる。





「嬉しいような…悲しいような…?」


「どうせ俺はハルが起きたらお前に手は出せなくなるし。しばらくは特訓してハルに勝つ算段を考えねえとな。」


「鉄の掟の話だよねー。」




ハルに勝たねば、私とは結婚できない。


でも私、もう既婚者か。







「だからあんまり焦るなよ。俺は既に十年待ってる。今から何年延びたって気にしねえ。」


「う…。」