パニック継続中の私は固まるだけ。
アキトは小さく舌打ちして、邪魔すんなよとるうに文句を垂れている。
「いい度胸だな。」
「安心しろって。本気で狙ったりしねえよ。レンの嫁だしなあ。」
「…本気じゃねえなら手も出すな。」
「優等生かよ。」
本気では…ない。
つまり結局、キスしたいかどうかでは好きかどうかは判断できないってことか!?
ただの振り出しじゃん!!!
「じゃあ話は済んだし俺は帰るぞ。」
「……。」
「リン、お前は手を伸ばしたいと思ったら素直に伸ばせばいい。それが自ずと答えになる。」
「…うん?」
手を伸ばす、くらいなら。
分かりやすいし出来るかもしれない。
アキトはるうに怒られて帰って行ってしまいました。その背中が少し切なく見えたのは、気のせいだったんだろうか。
誰も知らないところで。
「本気じゃねえなら…か。」
アキトは、静かに呟きながら。
自分の帰るべき場所へと足を向けた。

