(一)この世界ごと愛したい





我慢も限界に近いところまで来た時、ようやく再び扉が開いた。




「遅いぞ、レン。」


「すみません。」



颯爽と、赤い絨毯を歩く男。



遅れて来たくせに、嫌に堂々と。謝っているにも関わらず、悪びれた様子はない。




女の私から見ても綺麗な顔。


私と同じ金色の髪。


そして海のように深い、紺碧の瞳。





その瞳と、私の緋色の瞳の視線が交わる。





一瞬あまりにも綺麗なこの瞳に、吸い込まれるかと…本気で思った。







「……。」


「…初めまして、アレンデールから参りました。リンと申します。」



てっきり先に挨拶してくれるのかと思いきや、なんにも喋らないので焦って挨拶する私。



ほんと偉い!私っ!





「……。」


「この度は婚姻の儀を交わしてくださること、深く感謝申し上げます。」








「…俺、断ったんだけど。」









は…?





この状態で私が断られるパターンってあんの!?


もう来ちゃったよ!?





「レン、この結婚は義務だ。何度も言わせるな。」


「俺は結婚など望んでません。」


「お前が望もうが望むまいが関係ない。そして神の御前も等しいこの場で戯けたことを言うな。」



どちらかと言うと戯けはお前だよ、阿呆王。