(一)この世界ごと愛したい




完全なる頭脳派の私は、気付けばそんなどうしようもないことを考えてしまって。


なんで恋愛は数値化、可視化出来ないのだろうと思い悩む。



そんな固い頭なもので。当然答えは導き出せず、冷静になった頭でさっさと支度を済ませてから再び部屋へ戻る。




「体調はもういいのか?」


「あ、言われてみれば元気かもー。」



すっかり忘れてしまうほど。


熱が下がったのか身体の怠さはないし。意識すれば、痛みを感じる傷はあるけれど気にならない。






「…じゃあ俺はアレンデールに向かう準備始めるから。」




コーヒーを淹れながら、るうが言った。



私はそこに補足をする。







「荷物はまとめれるだけまとめて、必要な物は全部持って帰ってね。」


「は?」




「るうはもう、ここには戻って来られないと思うから。」




私の見立てでは、ハルは必ず目覚める。


そうなれば、ここからは速さ勝負だ。私がセザール王を討つのが先か、ハルが復活して私を救出するのが先か。




「俺、薬届けたらすぐに蜻蛉返りする予定だったんだけど?」


「ううん。ハルが無茶しないとも限らないし、るうはハルの側にいてあげてー。」


「いや、どう考えてもお前の方が危険だろ。」


「私は大丈夫だよ。無茶なことはしないから。」




ごめんね、るう。


これは私の嘘。たぶん一人で王を討ちに行くし、危険な橋も渡ってしまう。



…だって私は、もうあの王を救えない。