炎を具現化した手を見つめて、握ってみたり、開いてみたり。
こんなことが出来たのは、私の記憶の中では初めてだけど。出来るような気はしていた。
「…これが、火龍の炎か。」
アレンデールに古から伝わる火龍神話。
まさか本当にこの身に宿るとは思わなかったなー。そして思いの外熱くなかったなー。
これで私は戦神でもなければ、普通の人間でもなくなったわけだ。
パパとハルが、目覚めさせまいと。決して他へ晒すまいと。私にさえ隠し続けてきた力。
「あーあ。」
ハルが目覚めたら怒られるんだろうな。
…と、悲観になっても仕方ない。
今はとにかく、前を向いて進まねばならない。
己の野望を成し遂げるために。
利用できるものは利用する。火龍でもなんでも従えてみせる。自分の力にしてしまえばいい。
私はそれからクロード将軍へ返事を記し。他の戦に関する作業をある程度片付けてから、一人ごろんと横になる。
「…ハルが悲しむかな。」
力が目覚めた私を怒ってくれてもいいし。憐れんでくれてもいいから。
だから、嫌いに…ならないでね。
そんな不安を抱きながら、私はそっと眠りに落ちていった。

