(一)この世界ごと愛したい





炎を具現化した手を見つめて、握ってみたり、開いてみたり。



こんなことが出来たのは、私の記憶の中では初めてだけど。出来るような気はしていた。







「…これが、火龍の炎か。」




アレンデールに古から伝わる火龍神話。



まさか本当にこの身に宿るとは思わなかったなー。そして思いの外熱くなかったなー。






これで私は戦神でもなければ、普通の人間でもなくなったわけだ。





パパとハルが、目覚めさせまいと。決して他へ晒すまいと。私にさえ隠し続けてきた力。






「あーあ。」




ハルが目覚めたら怒られるんだろうな。



…と、悲観になっても仕方ない。






今はとにかく、前を向いて進まねばならない。






己の野望を成し遂げるために。



利用できるものは利用する。火龍でもなんでも従えてみせる。自分の力にしてしまえばいい。





私はそれからクロード将軍へ返事を記し。他の戦に関する作業をある程度片付けてから、一人ごろんと横になる。









「…ハルが悲しむかな。」




力が目覚めた私を怒ってくれてもいいし。憐れんでくれてもいいから。




だから、嫌いに…ならないでね。





そんな不安を抱きながら、私はそっと眠りに落ちていった。