どうして、予測出来ない。
セザール王の非道さも、エリクの狡猾さも、全部全部嫌ってほど知っていたのに。
疲れなんて気にせずに城に残るべきだった。
「…こんなこと誰が予想できる。」
「頭に過ってはいたの。だから帰ってきた足で陛下に頼んだんだけど…。考えが甘かった。」
どうしてセザール王の言葉を鵜呑みにしたんだろう。
どうしてエリクを逃してしまったんだろう。
この甘さが、罪もない五千人の命を奪ってしまったというのに。
「…少し一人にしてくれる?」
「分かった。何かあったら呼べ。」
一人になりたいと言った私の気持ちを汲んで、るうとレンは部屋を出る。
私の静かなる怒りは、具現化される。
書簡を握りしめた手が熱を帯び、紅に煌めく炎が浮かび上がる。
私は灰と化したその書簡を見つめて、一筋の涙を流す。
守ってあげられなくてごめん。
助けられなくてごめん。
後悔の念が押し寄せる中、私は未だ消えることのない内に秘めた炎を抱えたまま。
しばらく立ち尽くしていた。

