(一)この世界ごと愛したい





どうして、予測出来ない。



セザール王の非道さも、エリクの狡猾さも、全部全部嫌ってほど知っていたのに。



疲れなんて気にせずに城に残るべきだった。





「…こんなこと誰が予想できる。」


「頭に過ってはいたの。だから帰ってきた足で陛下に頼んだんだけど…。考えが甘かった。」




どうしてセザール王の言葉を鵜呑みにしたんだろう。


どうしてエリクを逃してしまったんだろう。



この甘さが、罪もない五千人の命を奪ってしまったというのに。







「…少し一人にしてくれる?」


「分かった。何かあったら呼べ。」




一人になりたいと言った私の気持ちを汲んで、るうとレンは部屋を出る。














私の静かなる怒りは、具現化される。




書簡を握りしめた手が熱を帯び、紅に煌めく炎が浮かび上がる。





私は灰と化したその書簡を見つめて、一筋の涙を流す。






守ってあげられなくてごめん。


助けられなくてごめん。





後悔の念が押し寄せる中、私は未だ消えることのない内に秘めた炎を抱えたまま。




しばらく立ち尽くしていた。