(一)この世界ごと愛したい





怒りこそ残るものの。


触れた手から伝わる冷たさに、少しだけ冷静になれる私の心。





「…大丈夫?」



「…うん。」




どうにか変色させずに済んだ瞳。


私は一息ついて、そっと目を開ける。





「るう、この書簡誰にもらったの?」


「伝者と偶然会って、直接お前に渡すよう頼まれた。」



つまりセザール王には、私がこのことを知ったことは伝わっていない。




「そっか。」


「読んでいいか?」


「…いいけど、気分悪くなるよ。」



私は一応止めたが、書簡に目を通し始めるるうと。勝手に覗き込むレン。




「おいおい、ノイン軍全員って…。」


「私の最後の認識では半数は残ってたよ。」



つまり、五千人近くの命を奪ったということだ。


処刑された兵たちの痛みを、残された遺族の怒りを、考えるだけで胸が痛む。



それでもクロード将軍は、それを己の責任だと。私は悪くないのだと言ってくれるが。





どう考えたって。






「…私が悪いね。」