(一)この世界ごと愛したい





出来るだけ凛として。胸を張って。


物怖じせず、毅然とした対応を心掛けなくてはならない。




「この度は、和睦を受け入れ国を救っていただきありがとうございます。」


「ああ、よい。」


「婚姻という形ではありますが、私で力になれることがあればお申し付けくださいませ。」


「そうであったな。婿がおらねば話にならんな。」




え、婿おらんのかい。


どの人だろうって私しれっと探してたよ。




「おい、地下牢からレンを連れて来い。姫に嫌われぬようせめて着飾ってくるよう伝えよ。」




地下牢!?牢に入ってんの!?



もしかして第三王子危ない奴なの!?


あの使者まさか優しいとか全部嘘だったの!?





…前途多難だ。






「どれだけ着飾ったところで姫の美しさの足元にも及ぶまいが。」




そんなのどうでもいいわ!!!


なんだこの阿呆王!!!