そして大きく聳え立つ、仰々しい扉の前に立った時ようやく着いたのかと小さく息を吐く。
「陛下がお待ちですので、早速ですが参ります。」
「はい。」
その扉を開けると、中はまた派手に装飾され、王へと続く道に赤い絨毯が敷かれている。
堂々と私はその上を進む。
「ようやくだ…ようやく我が手中に。神の力が手に入った。」
嬉々とした不気味な笑みを浮かべた人が、玉座に座っている。
この男が、セザール王。
この男が、父を殺した仇か。
「初めまして。リン・アレンデールと申します。」
「よい。面をあげよ。」
私はベールを取り隔たりなしに、セザール王へ向かい合う。
「これほどに…美しいとは…。」
この場の全員が、息を呑んだのが分かる。

