(一)この世界ごと愛したい





私に使用するために作られた毒。



それがハルに当たり。




ハルが二年も眠り続けたと。






「美しい物を、美しいまま側に置いておきたい性分でね。」


「……。」


「眠りについた姫を、額に入れて飾りあげたかったんだが。今となっては鬼人に命中したのは不幸中の幸い。」




既に私の瞳は、色が変わってしまっているというのに。


さらに私の瞳の温度が上がるような思いだ。






「…何故、それを私に?」



「レンは解毒薬を完成させたでしょう。」



「……。」




一体、何が言いたいんだろう。















「そのためにレンは死罪になる。」





この男が、何を言っているのか。


私にはもう分からない。





分かるのが、少しだけ怖い。