(一)この世界ごと愛したい





じゃあもう、どうすれば決着が付くのか教えてください。




「私があなたを討てば満足ですか?」


「姫に人生の幕を下ろしてもらうのは悪くはない。だが、願わくばまだ姫を手に入れたいと思っているんだ。」


「もう無理ですよ。アキト軍は傷付いていますが、エリク様の軍ともまだ戦えますし、数もこちらが優位です。恐らく勝ち目はないかと。」




いい加減諦めてくださいよー。


往生際悪すぎるってー。





「確かに勝ち目は薄いが、幸運にも思い描いた通りに姫が今ここに一人でいる。」



「まさか私に勝つおつもりで?」



「レンがここ最近、部屋に篭って薬の研究を始めたのは姫の兄上…鬼人を治すため。」




ハルの名前が出たことで、私は反応する。







「鬼人に使用した毒は、名だたる医術師たちに私が作らせたものだ。」


「…毒。」




アレンデールでは、ハルは負傷した傷によって運悪く目が覚めないと。


そういうことになっていたが…そうか。だからレンは、解毒薬だって言ってたのか。








「あれは高性に作られた魔法の毒。











本来、姫に使うために開発させたんだ。」







ドクンと。



胸が跳ねる。