そして、私のこの姿に一番喜びの色を見せるのは。
「素晴らしい。」
「……。」
混戦に混戦を重ねている中。
私の視界に不自然に入り込んできたエリク。
私を誘き出す罠だと知って、私はその罠へ飛び込む。近くで戦っていたるうとアキトに気付かれぬように。
そっと、素早くエリクの前まで移動した。
「その瞳…その姿…まさにアテナの化身だ。」
「エリク様の中のアテナ像は陳腐ですね。」
「謙遜せずとも良い。」
してねーよ。
「それで、此度の戦の終焉はどうされますか?」
「まさか火攻を雨で打ち消されるとは思わなかったよ。良い策だと思ったんだがな。天はやはり姫に味方してしまう。」
違いまーす。
歴とした私の才能でーす。
「それでは私の勝ちでよろしいですか?」
「城は落とされた。この戦はセザールの勝利だろう。」
「では潔く退散いただき、執拗にレン様を付け狙うのはお止め下さい。」
「それは出来ない。国同士の決着は付いても、我々兄弟の勝敗はまだ決していない。」

