(一)この世界ごと愛したい





そして、レンをそっと離して。



私は再び戦線へ立つ。







たぶん、もう…。


エリクも私も軍略では戦えない。




ここからは単純な武力勝負。






「るう、エリクは斬っちゃダメだよ?」


「なんでだよ。」


「それをまた脅しに使われたんじゃ私の身が持ちませんー。」




るうは痛い所を突かれたように、押し黙る。








「それに、次は私が斬るって言ったでしょ?」


「…はいはい。」




隊列を迅速に整えたトキが、私に声をかけてくれる。




「リン、大丈夫?」


「これが終わったら三日は寝たいと思ってる。」


「思ったより元気そうだね。じゃあ戦力として換算するから、後ろはあんまり気にしなくていいよ。アキト同様、前線は任せる。」


「トキの作戦に加えてもらえたみたいで、なんか嬉しいなー。期待に応えて頑張りますっ!」




人の作戦で戦うのなんて、新鮮かも。


少しわくわくします。




「頑張るのは程々に。言っとくけどルイも満身創痍だから当てにしない方がいいよ。」


「誰がだ。俺はまだ余裕だ。」


「昨夜もう雑巾みたいにヘロヘロだったじゃん。」




ギャーギャーとるうが怒り出す。


今日も平和ですねー。