私が目覚めたことを嗅ぎつけたアキトとレンも近くにやって来るけど。
それどころじゃないから!!!
「アキト、とりあえず隊列組み直すよ。リンとルイはレンと一緒にいて。」
「隊列ってまさか…。」
トキは私が戦力にならないと判断し、後ろへ下げようとする。
今は何よりこの熱が厄介。
ならば…。
「ハルに言われたら頑張るしかないよねー。」
「リン…?」
熱は熱をもって制す。
私は己の中で、一気に感情を爆発させる勢いで自らの怒りを奮い立たせる。
「…シロ、レンを任せたよ。」
「お前…。」
「るう、これが最後だから無理は大目に見てね。」
瞳の色が変わり行く。
目の奥が燃えるように熱く。
それが身体に伝わり、己の体温を凌駕する。
そのまま、るうとシロから飛び降りると。
シロは言われた通りレンの元へ向かう。
「レン、シロに乗ってて?」
「ちょっと待って。俺のことはもういいからリンは…っ!」
休んでて、と。
そう言おうとしてレンは口を閉じる。
それはたぶん、私の瞳の色を見て。その覚悟を鑑みてくれたからだろう。
「…ねえ、レン。」
「……。」
「もういいなんて言わないで。レンが負けて、エリクのお嫁さんなんて…私は嫌だよ。」
レンは驚いたように目を丸くして。
私はそんなレンを、ぎゅっと抱きしめる。
「仮でもお嫁さんなんでしょ?だったらもう少し私を信じて?」

