(一)この世界ごと愛したい






どれくらいこの時間が続いただろう。



私は中々に重たい目を、中々開けることができず。





眠ってしまったことによって、お得意のレーダーも遮断され。



私の睡眠を阻むものは何もない。





エリクの襲撃も、この夜全員が警戒し続けたものの杞憂に終わり。



再び夜が明ける。



夜明けと同時にアキト軍は帰路を辿り。眠ったままの私を、るうが抱き抱えて進む。






…エリクは決して甘くない。



このまま、穏やかに帰国を迎えることはない。









その頃、私は夢の中でハルと話していた。




『おい、リン。』


『なにー?』


『怪我したのか?』


『うんー。痛いの。それに眠いー。』




夢の中で、ハルは私の怪我を心配している。




『まだ動けるか?』


『身体重すぎて今は無理だよー。』


『じゃあまだ寝てろ…って言ってやりてえけど。お前が後々後悔するのも俺は嫌だ。』


『えーなにそれー?』




意味深なことをいうハルに、私は首を傾げると。


そんな私を立ち上がらせてハルは続ける。





『もうすぐ会える。だからそれまで踏ん張れよ?』


『ハル…?』










『…舞え、リン。』





ハルが私の背中を強く押した。