「だからって頼りすぎだ。」
「…だな。」
「お前が鬼人の代わりになってやりゃあ良いじゃねえか。」
「馬鹿言うな。」
るうは、ハルを思い浮かべ。
私の頭をそっと撫でる。
「ハルの代わりなんて、誰にも出来やしねえよ。」
そう。
ハルの代わりなんていない。
「リンにとって、ハルといる時だけが…唯一気を抜ける瞬間なんだ。」
アキトは静かに聞いて。
そして一つ、溜め息を吐いた。
「どいつもこいつも過保護だなあ。」
「ハルにとっても、リンは自分の命より大事で。だから正直今のリンの状況を知ったら…もう考えたくもねえな。」
「…あーレン頑張れよ。」
レンは浮かない顔で。
治療は終えたものの、あまりにも傷を負った私をただ心配そうに見つめている。
「俺はどうだっていいよ。これ以上傷付かないでいてくれるなら、なんでもいい。」
「…リンは起きそうか?」
「意識的に急所は自分で外してるから、本来なら起きるけど。今眠ったままなのは単に疲労が溜まりすぎてるだけだろうね。」
はい。
危なそうな矢は全て防ぎました。
あの時、全て躱すのは簡単だったけど、後ろにレンがいたので躱せなくて。当たっても大丈夫そうな箇所だけ諦めて、それ以外を弾きました。
一本だけ身体の自由が効かずレンに掠ってしまったけれども。

