「その辺はトキに任せればいい。お前普段そんなことやってんのかあ?」
「やったことはねえ。リンと戦する時は基本的に斥候も警備も置かねえし。」
「はあ?それでよく成り立つなあ?」
「…必要ねえんだよ。リンは敵の位置や数ほぼ把握できるし。だから正直今の状況の方が俺は経験ねえから言ったんだ。」
いつ敵が…というかエリクが襲撃してもおかしくないこの状況と。私の戦線離脱。
るうはほとんど未知の不安に駆られる。
「…それを、開戦前からずっとやらせたのか?」
「……。」
「ぶっ倒れてもそりゃおかしくねえなあ。」
アキトはまるで、るうを責めるように。
少し声のトーンも低く。るうも思うところがあるのか、反論はしない。
「お前はリンを助ける立場なんじゃねえのかあ?」
「…望んでねえ。」
「はあ?」
「リンは俺に、助けられることを絶対に望まねえ。」
昔からずっと、知っている。
私は救いの手を望まないことを。
だって私は、いつかるうを手放さなければならないことを知っている。
るうは一時的にハルから預かってる人。
ハルが目覚めれば、私はるうをハルに返さなきゃいけない。言わば大切な借り人。

