しかし。
セザールへの道の途中で、再び訪れる夜のせいでどうしても歩みを止めざるを得なかった。
また夜営の準備にかかるアキト軍。
いち早く設営された天幕に、私を寝かせたるうは何とも言えない表情で私を見つめる。
「リンは?」
「…寝てるだけだ。息はある。」
心配そうに見つめるアキトとトキ。
そして、自分を責めるレン。
レンはそれでも己の正義を全うするために、私の治療に取り掛かる。
「…矢、抜くね。」
「ああ。」
私の身体に刺さったままの矢をレンが容赦なく抜くが、私はそれでも眠り続けたまま。
もうね、眠かったんですよー。
痛いより眠いが勝ってるんですよー。
「甲冑着せてた方がよかったんじゃねえか?」
「夜襲終えたとこで限界そうだったし。無駄に体力奪うのも…って思ったけど。確かに…そうだな。」
「あんま落ち込むなって!リンは死なねえよ!!」
ズドーンと落ち込むるうを、何故かアキトが励まして。
トキは野営地を取り仕切るために大忙し。
レンは私の治療に専念している。
「てかお前も寝てねえだろ、寝てろ。」
「みんな同じだろ。」
「お前らは負担が違うだろうが。」
「俺はまだ大丈夫だ。斥候とか周囲の警戒とか手伝うか?」
エリクの警戒を怠りたくないるうが、アキトに申し出るが。
アキトはそれを断る。

