全てを防ぎきるのは難しくて。
自身を掠める矢もあるし防ぎきれない矢もある中。出来る限りは後ろへ行かないよう頑張ったつもりだ。
「リ、ン…。」
レンが私を呼ぶので。
振り返ると、レンの頬を矢が掠めたのか。
頬から少し血が流れている。
「ごめん。」
「…リン…っ!!!」
「…約束、破っちゃった…ね。」
傷一つ付けないと。
その約束を守れなくてごめんと。
今は謝る気力もないんだけど。
そんな私を、今にも泣きそうな顔で見つめるレンに。
「ちょっと…、待ってて。」
私はそう声を掛けて、余力全てを使って再び跳び上がる。
弓兵を一層するため多少の無理は承知。木の上や茂みに潜む弓兵を討つ。
そしてそのまま、私を追いかけてきてくれたるうが現れる。
「…るう。」
「っ…。」
「…後は、よろしく…ね。」
もう事切れるのを待つだけだった私の身体。
それを託せるのは、やっぱりるうで。
よろしくと伝えた私の手を、るうが握ってくれたのを確認して。
私は静かに、目を閉じた。

