あちこち痛いし。
しんどいし。
眠い。
「シロもう大丈夫だから、最速で行って。」
私の気持ちに応えて、シロは全速力で駆け抜けてくれる。
前方に、アキト軍の最後尾を捉えた。
「…ヨーク軍か。」
前では恐らく戦闘が始まっており、後ろの足が完全に止まっている。
私はるうと、その行軍の隣を走り抜け先頭を目指す。
「……。」
先頭集団と、ヨーク軍が真正面からぶつかっているのを見て。
私は思わず拳を握りしめる。
この状況にならないように、再三策を練ったというのに。どうしてくれるんだ。
ヨーク将軍に気を取られていると。
周囲にも立ち込める殺気があることに気付く。もうレーダーも虫の息。
完全なる不覚。
その殺気の先を見つけた時。
私はるうに声を掛ける暇もなく。
シロから跳び上がる。
身体が悲鳴を上げる。
今はそんな身体にごめんとしか言えない。
「レンっ!!!」
私は弓で狙われたレンの前に立ち、降り注ぐ矢からレンを守る。
…が。
身体も限界な上、思ったより矢数が多い。

