クロード将軍は、深く息を吐き。
静かに私を見据える。
「こんなに傷を負った姫様に、これ以上の無理はさせられません。」
「…すみません。」
「ここはお引き受けしましょう。それがレン様のために戦ってくださった姫様に、私が出来る唯一の恩返しでしょうから。」
その優しさに、胸が締め付けられる。
本来であれば、レンと共にこの地に残り私が率先してやらねばならないことを。
こうも寛大に引き受けてくれたクロード将軍にこそ、私はいつか恩を返したいと思った。心からの感謝を胸に、私は再度頭を下げた。
「レン様は本当に良き縁に出会えたようだ。」
「えっ…?」
「全てを諦め感情を捨て去ったレン様を、救い上げたのは間違いなくあなたです。」
そんな大袈裟なことは、何もしてないと思うんだけど。
「孤独な夜に二度と怯えることがないよう。あなたの光でこれからもレン様を支えてあげてください。」
「…はい。」
そう、返事はしたものの。
私の気持ちは明るいものではなくて。

